【納品チェック】実尺かかっていたラウドネス測定が数分で終わる!Adobe Audition

公開 : 2021/11/06 : 2022/03/04

今回の記事はラウドネスを数分で測定できるAdobe Auditionについて解説します。
主にディスク(XDcam)納品しているテレビ番組の編集に関わっている方に向けた記事です。

ラウドネス測定はPremiere Proでも測ることができますが、実尺かかってとても効率が悪いです。
さらにラウドネス測定は時間がかかるため、PDW-U2で書き出したディスクのラウドネスを測らずに納品する方は結構いるように感じます。
実際、僕がよく行くポスプロではラウドネスの数値が違うと局から指摘を受け、何度も再納品している場面を目撃しています。

Adobe Auditionを使えば30分番組でも、1時間番組でも、特番でも数分でラウドネス測定できちゃいます。
使い方も超簡単なので、ぜひ一度使ってみてくださいね。

ディスク(XDcam)内のmxfファイルをラウドネス測定する方法

Adobe Auditionを起動したら、XDcam内のmxfデータを読み込みます。
XDcamから直接読み込ませることもできますが、通常より読み込み時間がかかります。
僕の場合XDcam内のmxfデータをmp4に変換したりするので、一度サーバーにコピーしてからAuditionに読み込むようにしています。

Auditionの読み込み方法はPremiere Proと変わりません。
Finderからドラッグ&ドロップで読み込めます。

30分番組なら数秒〜数十秒くらいで読み込まれます。
ただXDcamから直接読み込んだ場合は、もう少し時間がかかるかもしれません。



読み込みが終わったら、mxfをダブルクリックして波形を表示します。

頭にあるのはカラーバーで、そのあとに本編の波形が表示されています。



次にラウドネスを測定する範囲を決めます。

波形の上でマウスをスライドさせると範囲が決められます。
ここではカラーバー(1kHz)を範囲にしました。



これでほぼ準備完了です。
あとはラウドネスを解析するウィンドウを開きます。

ウィンドウ>振幅統計



タブで3つに分かれていますが、「一般」しか使いません。
左下の「選択範囲をスキャン」を押せば解析が始まります。

これで終わりです。
Auditionの解析結果は小数点第2位まで表示されるので、四捨五入してください。

ただ、ちょっと気になることが2つ。
・解析結果が「LKFS」ではなく「LUFS」になっている
・「ITU-R BS.1770-3」って何?

Premiere Pro CCでラウドネスを測定する時の表記と微妙に違う…
僕はラウドネスのことを「-24LKFSあたりになってれば大丈夫」というざっくりな知識しかないので、こういう表記違いがあると本当に使って良いのか不安になっちゃうんですよね…。

ということで、この2点を少し調べてみました。

「LKFS」と「LUFS」は名称が違うだけで、同一のもの

表示結果が「LKFS」ではなく、「LUFS」なのが気になっていましたが、調べてみると呼称は違っていますが同一のものらしいです。
以下、一部引用させていただきました。

引用先:LUFS/LKFS…ラウドネスメーターについて復習して理解を深めよう

略さずに言うとLoudness K-Weighted Full Scale(LKFS)とLoudness Unit Full Scale(LUFS)。
LKFSはITU-RやATSCの規格を採用しているメーターで使われ、LUFSはEBUの規格を採用しているメーターで使われます。ちょっと紛らわしいですが、この2つは名称こそ違えど同一のものです。

ラウドネスについて細かく書かれている記事だったので、とても参考になりました。

ITU-R BS.1770の規格で計算された単位が「LKFS」

「ITU-R BS.1770-3」って何だよ…とも思ったので、こちらも調べました。
どうやらITU-R BS.1770で規定されているラウドネス測定アルゴリズムがあるらしく、これで計算された単位が「LKFS」らしいです。
Premiere Pro CCでラウドネス測定する「TR-B32」もITU-R BS.1770の規格なので、同じものを指していると言えそうです。
これも引用先を載せておきます。

引用先:ARIB 一般社団法人 電波産業会

LKFSについての記述
Rec. ITU-R BS.1770で規定されているラウドネス測定アルゴリズムによって計算したラウドネス値の単位。


ラウドネス難しい…
なんとなく同じものを指してるんだなということは分かりましたが、完全には理解できません…
なので上記の記事を参考にしつつ、AuditionとPremiere Proの両方でラウドネスを測り、同じ数値になるかテストしました。

色々な番組で10回以上試していますが、 今のところ2つの計測結果が大きくズレたことはありません。(Auditionは小数点第2位を四捨五入します。)

Auditionを使うことで、ラウドネスチェックが数分で終わる

結論をいうと、Premiere Proでラウドネスを計測する場合、実尺かかっていましたがAuditionを使えば数分で終わります。

納品チェックが今まで以上に楽になるのはいいですよね!
PDW-U2でディスクに書き出したデータもAuditionを使ってラウドネスを測定し、再納品のリスクを減らしていきましょう。


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電車の中、ちょっとした隙間時間にお試しください。